Instagramをはじめとする各種SNSで「#大仙公園日本庭園」を検索すると、色鮮やかな白無垢や色打掛に身を包んだ新郎新婦、水面に映り込む青もみじや紅葉の息をのむような美しいカットが無数に表示されます。なぜ、京都や奈良の著名寺院ではなく、堺市の大仙公園日本庭園がここまで和装ロケーション撮影の現場として選ばれ、絶賛され続けているのでしょうか。
取材を通じて浮かび上がってきた最大の理由は、「徹底的にノイズを排除した26,000平方メートルの回遊空間」にあります。京都市内の伝統寺院では電線や観光標識、押し寄せる観光客の写り込みを避けることが極めて困難ですが、大仙公園日本庭園は外周を取り囲む豊かな木々と築山によって外部の近代建築物が巧みに遮断されています。どこにカメラを向けても日本の伝統美が自然なフレーム内に収まるよう視線誘導が計算されており、背景処理に苦慮するプロフォトグラファーの間で「奇跡のロケ地」と称される所以です。
さらに、園内には朱塗りの反橋(印月橋)や優美な木製平橋、中国風の意匠を取り入れた流杯亭、豪商の風雅を伝える数寄屋造りの休憩舎など、わずか数歩進むごとに異なる意匠の舞台装置が次々と現れます。1箇所の庭園にいながら何十バリエーションもの情景を撮影できる多様性が、前撮りスタジオやインフルエンサーから圧倒的な支持を集める決定的な要因となっています。