運命の日となった2018年2月20日。千葉県館山市周辺で行われていたロケは、寒冷な気候のなか順調に進行していた。大杉さんは第5話の重要なシーンを撮り終え、共演陣の遠藤憲一、松重豊、田口トモロヲ、光石研とともにロケ先のホテル近くの飲食店で夕食を共にした。当時を振り返る関係者によると、大杉さんは普段と変わらず穏やかで、撮影の出来栄えや今後の展開について楽しそうに語り合っていたという。
異変が起きたのはホテルに戻った深夜のことだった。腹痛と体調の急変を訴えた大杉さんを、隣室にいた松重豊が異変を察知して介助。スタッフとともにタクシーで救急病院へと向かった。遠藤、田口、光石も病院へ駆けつけ、盟友の回復を祈り続けた。しかし、祈りは届かず、21日午前3時53分、大杉さんは旅立った。病院の集中治療室で最期の瞬間に立ち会った4人は、言葉を失い、ただただ大杉さんの手を握りしめていたという。
遺族と所属事務所、そしてテレビ東京の制作陣は協議を重ねた。「漣さんが誰よりも愛し、命を注ぎ込んだ現場を途中で止めるわけにはいかない」。残された4人の俳優たちとスタッフは、深い悲嘆に暮れながらも撮影の続行を決断。大杉さんが残した生前の映像を丁寧に紡ぎ合わせ、全5話として放送を全うした最終回のラストシーンは、日本のドラマ史に残る奇跡的な追悼となった。