山手線の南西部に位置する大崎駅。かつての工業地帯から先進的な複合都市へと再開発が進んだ品川区のこのエリアは、日本の外食産業におけるトレンドセッターとして静かな注目を集めている。昼夜を問わず人が行き交うこの街では、効率性重視のチェーン店が淘汰され、作り手の顔が見える本格的なイタリア料理店への需要が急激に高まった。
変化の背景にあるのは、客側の舌の肥沃化だ。出張や旅行で世界各国のガストロノミーを体験してきた層が、日常のテーブルに求める基準は年々上がっている。カジュアルなトラットリアであっても、手打ちパスタの粉の配合やオリーブオイルの鮮度に一切の妥協は許されない。大崎という立地だからこそ、肩肘を張らずに最高峰のクオリティを味わえる店が生き残る構造が完成している。