清廉潔白なヒロイン像にとどまらないのが、彼女の役者としての底知れなさだ。その真骨頂が発揮されたのが、東映の金字塔シリーズ『極道の妻たち 三代目姐』である。
従来の任侠映画が描いてきた男社会の論理を鮮やかに打ち破り、組織を背負って立つ女性の覚悟と狂気、そして凛とした美しさをスクリーンに焼き付けた。ドスの利いた啖呵と、ふとした瞬間にこぼれ落ちる哀愁。暴力と欲望が渦巻く世界観のなかで、一歩も引かない気迫を放つ姐の姿は、多くの観客に強烈な衝撃を与えた。型にはまることを拒み、常に新たな表現へと挑み続ける冒険心が結実した瞬間だった。