「君は天然色」は、1981年3月21日にシングルおよびアルバム『A LONG VACATION』の1曲目として同時リリースされました。通称“ロンバケ”と呼ばれるこのアルバムは、オリコンウィークリーチャートで上位を独走し、日本の音楽シーンにおける「ポップス」の概念を根底から塗り替える金字塔となりました。
松本隆から届いた歌詞を受け取った大滝詠一は、その切実な背景を理解しながらも、あえてウェットなバラードには仕立てませんでした。悲しみをそのまま湿っぽく歌うのではなく、圧倒的にポップで多幸感に満ちたメロディで包み込むことこそが、傷ついた友への最大の救済になると確信していたからです。
イントロの前に置かれた、メンバーがチューニングを行いスタジオ内でカウントを合わせる演出。あれは「さあ、ここから新しい音楽のバカンスが始まるぞ」という高揚感を演出すると同時に、張り詰めていた空気をほぐし、リスナーを一気に非日常の音響空間へ連れ出すための緻密な仕掛けでした。