毎年1月5日の早朝、豊洲市場で行われる新春初競りでは、大間マグロに信じられないような高値がつきます。その頂点として歴史に刻まれているのが、2019年に「すしざんまい」を展開する株式会社喜代村が落札した3億3,360万円(278kg・1キロあたり120万円)という歴代最高額です。
2026年代以降も「オノデラグループ(銀座おのでら)」と老舗仲卸「やま幸」の連合による1億円超えの競り落としが続くなど、初競りは完全に日本の新春イベントとして定着しています。しかし、この億超えの価格はマグロ本来の味や身質の価値だけでついているわけではありません。
億超えが発生する最大の理由は、「世界規模のPR効果」と「縁起を担ぐご祝儀相場」の掛け合わせにあります。
初競りで一番マグロを落札した企業は、当日の朝から国内外の主要テレビ局、新聞、Webメディア、海外通信社で一斉に企業名と店舗がトップニュースとして報じられます。これを一般的な広告費に換算すると数十億円規模のメディア露出価値に匹敵するため、企業にとっては3億円を投じても十分に採算が合う計算になります。さらに、「その年の最高峰を仕入れて客に振る舞う」という飲食企業としての心意気や、命がけで冬の海に出る大間の漁師へのリスペクトと新年の景気づけが重なり、あの異次元の落札価格が成立しています。