大和文華館の収蔵品は、日本、中国、朝鮮半島など東洋美術全般にわたり約2,000件以上にのぼります。このコレクションの基盤を築いたのが、初代館長である美術史家の矢代幸雄です。イギリスでボッティチェリ研究の世界的権威として名を馳せた矢代は、「美は万人を潤す泉であるべき」という信念のもと、学術的価値だけでなく、純粋に鑑賞者の心を打つ美的完成度の高い作品を厳選しました。
その筆頭が、近世初期風俗画の最高傑作として名高い国宝『松浦屏風』(婦女遊楽図屏風)です。金地を背景に、華麗な衣装を身にまとった遊女や武士が等身大に近いスケールで描かれており、当時の織物の質感や髪筋一本に至る超絶技巧の描写は圧巻の一言に尽きます。また、中国・南宋時代の巨匠・李迪が描いた国宝『雪中帰牧図』や、平安時代の流麗な物語絵の傑作である国宝『寝覚物語絵巻』など、東洋美術史における第一級の至宝が揃っています。
館内では常設展示を行わず、年間5〜6回程度開催される企画展やテーマ別のコレクション展を通じて、重要文化財指定作品を含む名品が順次公開されます。訪れるたびに異なる作品と出会える構成となっており、公式サイトで発表される年間の展覧会スケジュールを事前に確認して訪れるのがおすすめです。