ネット上のQ&Aサイトや旅行ブログでは、「夜行バスを利用すればホテル代が1泊分浮いて最も経済的」という言説が常識のように語られています。しかし、大阪〜名古屋間という特殊な距離帯において、この論理は必ずしも成立しません。
第1の盲点は、「睡眠負債による機会損失」です。車内でまともな睡眠が取れず、到着後にネットカフェやスーパー銭湯へ駆け込んで仮眠を取るケースが多く報告されています。早朝サウナやネットカフェの利用料(約1,500円〜2,500円)を合算すると、昼行バスの最安値チケットとの差額が相殺されてしまい、「ホテル代を浮かせる」どころかトータル出費が新幹線自由席と大差なくなる逆転現象が頻発しています。
第2の盲点は、バス業界における「労務管理基準(2026年問題以降の規制強化)」の影響です。バス運転士の拘束時間や休息期間に関する厳格な法規制により、短距離区間で非効率な深夜停車を伴う便は、運行会社にとって採算性が極めて低くなっています。そのため、無理に夜行便を仕立てるよりも、早朝6時台から夜21時台まで高頻度で走らせる昼行便へとリソースを集中させるシフトが鮮明になっています。
実際に、JR東海バスや名鉄バスが共同運行する名神ハイウェイバスの最新時刻表を確認すると、名神高速経由と新名神高速経由を合わせて1日数十往復という過密ダイヤが組まれています。無理に深夜便を探すよりも、早朝の始発便(大阪発6時〜7時台)に乗車すれば、午前9時前後には名古屋市中心部で活動を開始できるダイヤが構築されているのです。