レッドフォードの卓越した才能は、カメラの前だけに留まりませんでした。1980年、初監督を務めた家庭劇『普通の人々』で、いきなり第53回アカデミー賞監督賞および作品賞を受賞。名優がメガホンを取った一過性の挑戦ではなく、卓越した演出力を持つ一流の映画監督であることを全世界に証明しました。
その後も、ブラッド・ピットの出世作となった『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992年)や、テレビ界のやらせスキャンダルに鋭く切り込んだ『クイズ・ショウ』(1994年)など、人間の深層心理や社会構造を静かに見つめる名作を次々と監督・製作しました。
さらに映画文化に対する最大の功績といえるのが、1981年の「サンダンス・インスティテュート」の設立と、それに伴う「サンダンス映画祭」の創設です。商業主義に偏りがちだった大手スタジオ主導のハリウッドに対し、低予算でも作家性の高い独立系(インディペンデント)映画作家に光を当てるプラットフォームを構築。クエンティン・タランティーノやクリストファー・ノーランなど、映画界のトップ監督たちを数多く発掘・輩出する原動力となりました。