「日本は降水量が多く水資源に恵まれているため、水危機とは無縁だ」という認識は、完全な誤解です。食料自給率(カロリーベース)が4割を切る日本は、海外から輸入する農畜産物を通じて、目に見えない大量の水を海外から消費しています。これがバーチャルウォーター(仮想水)の概念です。
例えば、牛肉1キログラムを生産するためには、飼料となるトウモロコシの栽培などに約2万リットル(20トン)もの水が必要とされます。環境省や研究機関の試算によると、バーチャルウォーターにおける日本の海外依存度は年間約600億〜800億立方メートルに達し、これは日本国内で1年間に使われる生活用水・工業用水・農業用水を合わせた年間使用量(約800億立方メートル)に匹敵する規模です。
米国カリフォルニア州やオーストラリアなど、日本へ穀物や牛肉を輸出している主要国で深刻な干ばつが発生すれば、農産物の輸出規制や価格高騰が生じ、日本の家計を直撃します。私たちは知らず知らずのうちに、海外の枯渇しつつある地下水を消費して暮らしているという現実を直視しなければなりません。