国際的な自然保護の最前線でも、アジア地域におけるクマ類の急速な減少は最重要課題のひとつとして扱われている。国際自然保護連合(IUCN)が定期的に更新する「IUCNレッドリスト」において、世界に生息するクマ類8種のうち大半が絶滅危惧種や危急種に指定されている現実は重い。
世界自然保護基金(WWF)やナショナル ジオグラフィックの特派員らによる精力的な調査報道は、密猟や伝統薬需要、生息地開発がもたらす打撃を世界に向けて発信してきた。日本国内の地域個体群に対する国際社会の視線も年々厳しさを増している。四国のツキノワグマをはじめとする孤立個体群の存続可能性の低さは、国際学会でも「早急な人為的介入がなければ数十年以内に消失する」と名指しで警鐘が鳴らされるレベルに達している。