ネット上の検索サジェストやSNSで時折話題にのぼる「永旺 撤退 理由」というキーワード。なぜこのような憶測が広がり、実際の現場では何が起きているのでしょうか。
報道各社の取材データや公式発表資料を精査すると、この噂の発端は「都市部における老朽化した老舗店舗の契約満了および不採算店のスクラップ&ビルド」にあります。過去数年間で、北京や広州などの一部大型店舗が賃貸借契約の満了に伴い営業を終了した際、センセーショナルな見出しで「イオンが中国から全面撤退か」と報じられたことが誤解の引き金となりました。
実際の理由は、全面撤退ではなく明確な「戦略的ポートフォリオの刷新」です。中国の小売市場では、不動産賃料の高騰、最低賃金の上昇、そして出前アプリ(美団やウーラマ)を介した「即時配送(30分〜1時間配送)」が日常化しました。これにより、従来の多階層型総合スーパー(GMS)は維持コストが跳ね上がり、収益性が圧迫されていたのです。
そこで永旺は、採算性の低い従来型店舗を計画的に閉鎖する一方で、広大な駐車場を備えファミリーが終日滞在できる「永旺夢楽城(イオンモール)」への投資を集中させました。つまり、「撤退」ではなく、時代に合わなくなった店舗モデルから「高収益な体験型モデルへのダイナミックな乗り換え」を断行しているのが事実です。