感染症対策の現場で頻繁に見落とされるのが、「有機物(汚れ)による薬剤の失活」です。次亜塩素酸ナトリウムは、血液、便、吐瀉物、油脂などの有機物に接触すると、それらを酸化分解するために塩素が急速に消費され、肝心のウイルスを殺菌するための有効塩素濃度が一瞬でゼロになります。
吐瀉物の処理を行う際、いきなり消毒液を上から少量撒くだけでは内部のウイルスは不活化されません。まずペーパータオル等で汚れを物理的に確実に拭き取って密閉廃棄した上で、汚染されていた床面に対して十分な量の0.1%希釈液を浸透させなければ消毒効果は得られません。
また、「熱湯で薄めた方が殺菌力が増す」というネット上の俗説も完全な誤謬です。次亜塩素酸ナトリウムは熱に極めて弱く、約60℃以上の温水で薄めると瞬時に熱分解を起こして有効成分が気散・消失します。希釈時は必ず常温の水道水を使用してください。