一方、川柳のルーツは江戸時代の前句付(まえくづけ)という言葉遊びにある。その選者として一世を風靡した柄井川柳の名が、そのまま文芸の名称として定着した。
市井の町人たちが生み出した川柳は、権力への風刺や身近な人間関係の滑稽さを軽妙なリズムで詠み上げることを得意とした。高尚な美意識よりも、人々が胸に秘める本音や「あるある」を可視化することに価値を置く。
時代が変わっても、この精神は色あせない。現代のサラリーマン川柳や各種公募賞で見られるように、苦笑いや共感を誘うユーモアの刃こそが川柳の生命線である。