五七五の定型をはみ出す「字余り(じあまり=18音以上)」や「字足らず(じたらず=16音以下)」の扱いについても、両者のスタンスには明確な温度差があります。
俳句における字余りは、表現上の必然性や緊迫感を演出する高度な技法として用いられます。中七(真ん中の7音)の字余りはリズムが崩れにくいため容認される傾向が強い一方、上五や下五の字足らずは極端に敬遠されるのが一般的です。松尾芭蕉も句の格調を保つために音律の調和を極限まで計算し尽くしていました。
一方、川柳における音数の伸縮は極めて大らかです。現代の川柳公募や投稿サイトの現場データを観察しても、口語の勢いやオチの破壊力を優先し、1音や2音の字余りを厭わない作品が多数入選を果たしています。「形式美の完全性を重んじる俳句」と「メッセージの共感度と切れ味を重んじる川柳」という、それぞれの創作思想がここにも色濃く反映されています。