彼女の女優人生における最大の転機であり、今も語り継がれる伝説のエピソードが、2008年公開の映画『蛇にピアス』だ。しかし、このオーディション直前、彼女は命の危険に晒される大交通事故に遭遇していた。
顎の骨を折る重傷を負い、集中治療室で数日間を過ごすという絶望的な状況。しかし、この生死の淵をさまよった経験が、彼女の内に潜む凄みと凄絶な演技力を呼び覚ますこととなる。鬼才・蜷川幸雄監督は、事故の傷痕が残る彼女の瞳に宿る圧倒的な「生と死のリアリティ」を見抜き、主演に抜擢した。
過酷な撮影現場で蜷川幸雄からの厳しい演技指導に応え、全身全霊で役を演じ切った吉高由里子。この作品で日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめとする各賞を総なめにし、一躍日本映画界のトップランナーへと駆け上がった。