延岡の食文化を語る上で欠かせない歴史的背景が、日本を代表する化学メーカー・旭化成の存在だ。大正時代から工場群が建設され、延岡市は九州有数の企業城下町として急速な発展を遂げた。昼夜を問わず交代制で働く大勢の工場労働者たちにとって、手軽で栄養価が高く、しっかりとお腹を満たせるスタミナ料理が必要不可欠であった。
ボリューミーでエネルギーに満ちたチキン南蛮や、発汗作用とスタミナ補給を兼ね備えた辛麺がこの街で爆発的に普及した背景には、まさにこうした労働者の食生活を支える外食産業の現場があった。職人や労働者たちの胃袋を支えてきた熱量が、時代を超えて地域独自のご当地グルメとして結実し、今や全国の食文化を牽引する力となっている。