ニットウェアの歴史を振り返れば、赤という色には常に反骨とエレガンスが同居してきた。かつてカート・コバーンが着古したモヘアのカーディガンを無造作に羽織り、グランジロックスタイルを永遠の美学へと昇華させたように、ニットは着崩してこそ生きる。
一方で、映画『アメリ』の中でオドレイ・トトゥが魅せたノスタルジックな赤の佇まいや、人気ドラマ『エミリー、パリへ行く』で主人公が見せる大胆でプレイフルな色彩感覚は、レディースファッションにおける赤の可能性を無限に広げてきた。かつてココ・シャネルがジャージー素材を解放し、CHANELのメゾンがツイードやニットを女性の自立の象徴へと押し上げた歴史の延長線上に、いま私たちが着る赤いニットが存在している。