1964年に刊行された第1作『ちいさいモモちゃん』は、生まれたばかりのモモちゃんと黒猫のプー、優しいパパとママが織りなす温かい日常を描いた物語でした。語りかけるような優しい文体と、スプーンや雨のしずくが言葉を話すファンタジー表現は、多くの読者を魅了しました。
しかし、妹のアカネちゃんが誕生する第2作『モモちゃんとアカネちゃん』、そして第3作『アカネちゃんのなみだのうみ』へと物語が進むにつれ、家庭内の空気は一変します。仕事に追われて疲弊するママと、家庭を顧みず不在がちになるパパとの間に修復不可能な溝が生じ、ついにはパパが家を出て別居・離婚するという、当時の児童文学としては異例の展開へと突入していきます。
シリーズ中盤以降では、父親は日常を共にする家族ではなく、時折会いに来る「お客さんのパパ」として描かれます。幼い姉妹が両親の不和に怯え、現実を受け止めていくプロセスが一切の妥協なく綴られています。