赤ちゃんの舌の動きは、月齢ごとの口腔機能や神経系の発達段階と密接に連動しています。成長の過程でどのような変化が起きているのか、月齢別にそのメカニズムを紐解きます。
新生児〜生後2ヶ月:原始反射と吸啜(きゅうてつ)の準備運動
生まれて間もない新生児期から生後2ヶ月頃の赤ちゃんが舌を出す背景には、生まれつき備わっている「原始反射」が深く関わっています。代表的なものが、唇や口元に触れたものを押し出そうとする「舌突出反射(ぜつとっしゅつはんしゃ)」です。これは母乳やミルク以外の固形物が誤って気道に入るのを防ぐ防御本能であり、病気ではありません。
また、この時期は空腹時におっぱいを探す「探索反射」の一環として、口をもぐもぐさせながら舌をペロペロと出す場面も頻繁に見られます。ミルクをしっかり飲めており、体重が順調に増えているなら自然な発育過程と判断できます。
生後3ヶ月〜生後5ヶ月:口腔感覚の発達と「舌遊び」の始まり
首がすわり始める生後3ヶ月から生後4〜5ヶ月になると、赤ちゃんは自分の身体の部位を認識し始めます。手を見つめる「ハンドリガード」と同様に、口の中で舌を動かしたり、唇の外へ出したりして、その感触や動きを楽しむ「舌遊び」が盛んになります。
唾液の分泌量が急激に増えるのもこの時期の特徴です。よだれをブクブクと泡立てながら舌を出してご機嫌そうに笑うのは、口腔内の感覚器官が順調に発達している証拠といえます。なお、舌突出反射が生後何ヶ月まで続くかについては個人差があるものの、一般的に生後4〜6ヶ月頃には自然と消失し、離乳食を受け入れる準備が整っていきます。
生後6ヶ月以降:歯が生え始める違和感とコミュニケーション
生後6ヶ月を過ぎると、乳歯(下の前歯)が生え始める子が増えてきます。歯茎を突き破って歯先が出てくる時期は、歯茎がムズムズと痒くなったり違和感を覚えたりするため、無意識に舌でその場所を触ろうとしてベロを出す頻度が高まります。
さらに、視力や社会性が発達することで、大人の表情を真似する「模倣(まねっこ)」として舌を出すケースも目立ちます。親が笑いかけると赤ちゃんも舌を出して笑顔を返すなど、コミュニケーション手段のひとつとして活用されるようになります。