周囲の同月齢の赤ちゃんがすでに前歯を覗かせている中、わが子の歯茎に何の兆候もないと焦りを感じるかもしれません。しかし、赤ちゃんの歯が生える時期が遅い理由のほとんどは病気ではなく、遺伝的要因や体質による「萌出遅延(ほうしゅつちえん)」の範疇です。
特に早産や低出生体重児で生まれた場合、修正月齢(出産予定日を基準とした月齢)で発育を追う必要があります。骨の発達や身長・体重の伸びと同様に、歯の萌出タイミングも一人ひとり異なります。
小児歯科へ相談すべき明確な基準
経過観察で問題ないケースが多いものの、以下の兆候がある場合は一度、小児歯科専門医での診査(レントゲンによる歯胚確認など)を受けることが推奨されます。
- 生後1歳3ヶ月(15ヶ月)を迎えても1本も歯が生えてこない
- 歯茎の一部だけが紫色や黒っぽく大きく腫れ上がっている(萌出性嚢胞などの疑い)
- 1歳6ヶ月健診の時点で前歯が揃う気配がまったくない
なお、赤ちゃんの歯茎に米粒大の白い硬いしこりが見られることがあります。これは上皮真珠(じょうひしんじゅ)と呼ばれる良性の組織片であることが大半です。歯の形成過程で残った細胞が一時的に表面化する現象で、痛みやかゆみはなく、生後数週間から数ヶ月で自然に剥がれ落ちて消失します。無理にこすったり取ろうとしたりせず、そのまま様子を見て問題ありません。