多くのドライバーが最も迷うのが、シフトノブに備え付けられたODスイッチ使い方の正解です。結論から述べると、市街地走行を含め「日常の95%以上はON(スイッチを押し込んだ状態=インジケーター消灯)」が基本仕様です。あえてスイッチを押して「O/D OFF」にするべき局面は、極めて限定的です。
最大の活用シーンは、長い降坂路です。下り坂オーバードライブオフを実行すると、トランスミッションは最高速段(4速)へのシフトアップを物理的に制限し、3速へ強制的にホールドされます。これにより強力なエンジンブレーキ活用法が成立します。フットブレーキだけに頼って坂を下ると、ブレーキパッドの摩擦材が過熱して効かなくなる「フェード現象」や、ブレーキフルードが沸騰して油圧が抜ける「ベーパーロック現象」を引き起こす危険性がありますが、O/D OFFを適切に使えば機械的制動力で安全な減速を保てます。
もう一つの有効な場面は、急な上り坂や高速道路での追い越しです。アクセルを強く踏み込まなくても3速に固定されるため、エンジン回転数をパワーバンド(約3,500〜4,500rpm)に維持し、キビキビとした再加速が可能になります。
一方で注意すべきはオーバードライブオフ燃費影響です。市街地や高速道路でO/DをOFFにしたまま巡航を続けると、本来2,000rpm前後で走行できる速度域でも3,000rpm以上の高回転を維持することになります。整備工場や専門誌の実走テストデータによると、同一速度(時速80km巡航)でO/D OFFを維持した場合、ON時と比較して燃費が約15〜25%悪化することが実証されています。エンジンブレーキを必要としない平坦路では、速やかにONへと戻す判断が不可欠です。