車体を横や後ろから見たときに、デザインと安全性を両立させる核心部分となるのが「ピラー」と呼ばれる柱状の構造体です。前から順にAピラー、Bピラー、Cピラー(ミニバンやステーションワゴンでは最後位にDピラーが存在)と命名されています。
フロントガラスの両脇を支えるAピラーは、万が一の前面衝突時にキャビン(客室)の潰れを防ぎつつ、ドライバーの前方視界を確保するために緻密な断面形状が計算されています。前後のドアに挟まれた中央のBピラーは、側面衝突時の乗員保護を担う要であり、超高張力鋼板(ホットスタンプ材など)が多用されるため、板金による叩き出し修理が極めて困難な部位です。そしてリアガラスを支えるCピラーは、車体後方のねじり剛性を担保すると同時に、サイドからリアへと流れるルーフラインの造形美を決定づけています。
ドアを開けた足元、車体の床面両サイドに沿って前後に走る敷居のような部材がサイドシル(ロッカーパネル)です。立体駐車場の下りスロープや道路の縁石で最もガリ傷を作りやすい難所として知られています。このロッカーパネルは単なるステップではなく、モノコック構造における主要な骨格メンバーであるため、強度の高い鋼板で作られています。浅い擦り傷なら外板板金で対応可能ですが、骨格そのものが内側に押し込まれるような深い凹みになると、フレーム修正機を用いた大がかりな牽引作業を強いられます。
後方下部に目を向けると、近年スポーツカーのみならずSUVやエコカーにも標準採用される機会が増えたリアディフューザーが配置されています。車体下面を流れてきた高速の気流を後方へスムーズに拡散・排出し、フロア下に負圧を発生させてダウンフォースを得るための空力デバイスです。バンパー下部と一体化している車種も多く、輪留め(車止めブロック)にバックで衝突してディフューザーの整流フィンを破損させるトラブルが多発しています。自動車構造図解まとめを俯瞰すると、車体下部のパーツ一枚に至るまで緻密な空気力学と車体保護の思想が宿っていることが理解できます。