懲役刑が確定した受刑者は、刑事施設でどのような生活を送るのか。ここでは実際の受刑者の証言や法務省の公開資料を基に、刑務作業の実態を具体的に見ていく。
受刑者の1日は、おおむね午前6時30分頃の起床から始まる。朝食後、午前8時から刑務作業が開始され、昼休憩を挟んで午後4時30分頃まで続く。作業内容は多岐にわたり、木工・金属加工・縫製・印刷・農業などの職業訓練的なものから、部品組立などの軽作業まで様々だ。作業には1日あたり数十円から数百円の作業報奨金が支払われ、出所時の所持金となる。
元受刑者の手記を読むと、刑務作業に対する受け止め方は一様ではない。「単調な作業の繰り返しで精神を保つのが辛かった」という声がある一方で、「作業を通じて初めて規則正しい生活と勤労の習慣を身につけられた」という前向きな証言も少なくない。ある覚醒剤事件で懲役2年6ヶ月の実刑を受けた男性は出所後の取材で、「刑務作業がなかったら、社会に出てからも昼夜逆転の生活に戻っていたかもしれない。作業があったから体が動くようになった」と語っている。
一方、高齢受刑者の増加に伴い、作業強度の見直しも進んでいる。法務省矯正局の資料によれば、60歳以上の受刑者には軽易な作業が割り当てられることが多く、車いすでも可能な作業プログラムの整備も進められているという。刑務作業は単なる「刑罰の苦痛」ではなく、社会復帰のための訓練装置としての機能を強めているのが2026年時点の現状だ。