宝塚歌劇団の歴史において、入団2年目でのトップ娘役就任は極めて異例だ。通常、過酷なレッスンと下積み生活を何年も重ねてようやく掴み取る座に、彼女は彗星のごとく現れて座った。
当然、周囲の目は厳しかった。嫉妬や羨望、そして「実力は本物なのか」という冷ややかな視線が彼女を取り巻く。しかし、黒木は怯まなかった。圧倒的なビジュアルの美しさはもちろん、何よりもその舞台度胸と、役になりきる憑依型の演技力が周囲の雑音をねじ伏せていったのだ。
この電撃的な抜擢は、劇団にとっても大きな賭けであった。だが結果として、彼女の存在は宝塚に新たな観客層を呼び込む起爆剤となったのである。