八代亜紀という稀代のアーティストを語る上で、歌と絵画は切り離せない。彼女にとって、キャンバスに筆を走らせることと、カメラの前で自らをさらけ出すことは、同じ根を持つ表現活動だった。多くの人々が彼女のハスキーボイスに酔いしれる一方で、彼女は自身の内面に潜む「静寂」と「情熱」を視覚的に表現する方法を模索し続けていた。
事実、彼女の描く絵画には、どこか哀愁を帯びた猫や、幻想的な女性の姿が多く登場する。これらはすべて彼女自身の投影であり、写真表現においてもその一貫した美意識は貫かれていた。単に観る者を刺激するためのものではなく、光と影のコントラストの中で「一人の人間」としての存在証明を試みていたのだ。