主人公・竹井千代の実在モデルは、昭和の松竹新喜劇や映画『夫婦善哉』、ラジオドラマ『お父さんはお人好し』などで一世を風靡し、「大阪のお母さん」として愛された名女優・浪花千栄子(なにわ ちえこ)さんです。
ドラマと実際の史実を照らし合わせると、忠実に再現された壮絶なエピソードと、朝ドラ向けに再構築されたドラマチックな相違点が浮かび上がります。
【史実と劇中の主な共通点と相違点】
1. 極貧の幼少期と奉公生活
実在の浪花千栄子さんも大阪府富田林の極貧の養鶏農家に生まれ、学校にも通えず8歳で道頓堀の仕出し屋(ドラマでは芝居茶屋「岡安」)へ奉公に出されました。読み書きができなかった点や、劇団に入るまでの過酷な下積みは史実通りの描写です。
2. 夫の不貞と劇団脱退の顛末
夫・天海一平(モデル:二代目渋谷天外)が劇団の後輩女優(モデル:九重京子)と不倫し、子供を作って劇団を去る展開は、ほぼ史実通りの衝撃的な事実です。浪花さんはこの裏切りに深く傷つき、一時的に芸能界を完全に引退して消息を絶ちました。
3. ラジオドラマでの復活劇
引退後、花菱アチャコさんの熱烈なオファーによってNHKラジオドラマ『お父さんはお人好し』の母親役で奇跡の復活を遂げたプロセスも事実に基づいています。なお、浪花千栄子さんはのちに大塚製薬の「オロナイン軟膏」の看板キャラクター(本名の南口きくの「なんこう」繋がり)として全国的な知名度を得ることになります。