かつて過熱する受診控えやベッド不足、救急搬送のたらい回しといった危機的惨状を伝えた『NHKスペシャル』の報道が示唆した通り、国民の5人に1人が75歳以上という過酷な人口ピラミッドが完成した。大都市圏を中心に、急性期病床の不足と介護施設入所待ちの待機者が同時並行で増加。いわゆる「医療崩壊」「介護崩壊」の波は、過疎地にとどまらず東京都心部や埼玉、神奈川といったベッドタウンへも急速に波及している。
最新の統計データが指し示す実態は深刻だ。75歳を境に慢性疾患の重複罹患率は跳ね上がり、1人あたりの年間医療費は60代の倍以上に膨らむ。単に高齢者が増えるという話ではない。要介護認定率が急上昇する年齢層に、日本の高度経済成長を支えた巨大なセグメントが一挙に流入したことの意味を、我々は今まさに身をもって知ることになっている。