チャ・スンウォンという人間の底知れぬ器の大きさを語るうえで避けて通れないのが、2014年に世間を大きく揺るがせた「家族の真相」にまつわる騒動だ。この出来事こそが、彼を単なる人気俳優から「真の人間的リスペクトを受ける国民的スター」へと押し上げる決定的な契機となった。
発端はある一般男性が起こした民事訴訟だった。男性は「自分がチャ・スンウォンの長男であるチャ・ノアの実父であるにもかかわらず、スンウォン夫妻があたかも彼らの実子であるかのように偽り、自らの名誉を毀損した」と主張し、1億ウォンの損害賠償を請求したのである。
韓国社会は当時、蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。なぜなら、チャ・スンウォンは若手時代から「10代の学生時代に妻と出会い、若くして結婚して生まれたのが長男ノアである」と公表していたからだ。世間が真偽を巡り騒然とするなか、所属事務所(当時YGエンターテインメント)を通じて発表されたチャ・スンウォンの公式コメントは、人々の心を激しく揺さぶることとなった。
「22年前に結婚した際、妻と、離婚した前夫との間に生まれた3歳の子ども(ノア)が共に家族となりました。スンウォンは当時から現在に至るまで、彼を『心で産んだ息子』であると固く信じて疑っておらず、今でもその時の決断を後悔したことは一度もありません。どのような困難が降りかかろうとも、最後まで家族を守り抜く所存です」
公の場で語られたこの真実は、それまで彼が語っていた「若年結婚のストーリー」が、実は妻の過去と幼い息子を世間の好奇の目や偏見から守るために、彼自身がすべての責任と世間の目を背負う覚悟で作り上げた嘘であったことを白日の下に晒した。実父による訴訟は間もなく取り下げられたが、かつて息子の不祥事で父親として頭を下げていたスンウォンの姿を知る大衆は、彼が血の繋がりのない息子に対し注いできた計り知れない愛情と犠牲の深さに涙し、惜しみない拍手を送った。
かつてプロゲーマーとして活躍した息子チャ・ノアは、一連の騒動を経て表舞台を退き、現在は平穏な生活を送っている。関係者によると、父と子の絆は事件を経てより一層強固なものとなり、家族の集まりでも互いを深く信頼し合う姿が見られているという。