2010年代初頭、ミリオンセラーを記録した『老いの才覚』は出版業界に巨大な地殻変動をもたらした。福祉の充実や手厚い介護を求める大合唱に対し、「自立と自律」「潔い引き際」「孤独を愛する覚悟」を説いたこの一冊は、団塊の世代を中心に凄まじい反響を巻き起こした。
『文藝春秋』をはじめとする各媒体で繰り広げられた彼女の提言は、「歳をとれば自動的に敬われるわけではない」という極めてシビアな現実を突きつけた。福祉政策に寄りかかる現代人の甘えを容赦なく突く言葉は、過激と受け止められつつも、増税と社会保障費の増大に喘ぐ現代の生活者にとって、今なお痛烈な予言として響く。