江戸幕府の大奥には、常時1,000人とも2,000人ともいわれる女性たちが勤務していました。その多くは将軍の身辺警護や給仕、掃除などを担う「女中」です。側室候補となるのは、主に将軍の身の回りの世話をする「御中臈(おちゅうろう)」と呼ばれる容姿端麗かつ教養に優れた役職の女性たちでした。
大奥における側室の身分と待遇は、将軍の寝所に召される「お手付き(おてつき)」を契機に激変します。「お手付き」となった女中は専用の部屋が与えられて「御部屋様(おへやさま)」と呼ばれ、給与や身の回りにつく召使いの数が一気に増加しました。さらに、無事に懐妊・出産を果たすと「御腹様(おはらさま)」へと昇格し、大奥内での発言力は絶大なものとなりました。
ただし、一度のお手付きで懐妊に至らなかった場合や、将軍の寵愛が薄れた場合は、奥女中のまま生涯を終えるか、一定の年齢で宿下がり(退職)を余儀なくされるなど、待遇は本人の生んだ結果に冷徹なまでに直結していました。