『セッション』の緊迫感溢れる物語は、完全なフィクションではなくデイミアン・チャゼル監督の実体験が元ネタになっています。チャゼル監督自身、高校時代に名門ジャズバンドでドラムを叩いており、当時の厳しい指導者に対する恐怖で毎朝吐き気を催していたというトラウマが本作の着想源となりました。
このリアリズムを映像化するため、主演のマイルズ・テラーは過酷な役作りに挑みました。もともとロックドラムの経験があったテラーですが、ジャズ特有の複雑なグリップや超高速テンポを習得するため、週3回・1日4時間におよぶ猛練習を実施。劇中でドラムヘッドに飛び散る血の多くは特殊メイクではなく、テラー自身の手の皮が破れて流れた本物の血であることが明かされています。
そして、フレッチャー役を怪演したJ・K・シモンズの存在感は圧巻でした。威圧的な肉体美と研ぎ澄まされた冷酷さを見事に体現し、第87回アカデミー賞で助演男優賞を受賞。映画自体も音響賞や編集賞を含む3部門を制覇し、低予算のインディーズ作品から世界的大ヒット作へと上り詰めました。