『攻殻機動隊』シリーズは、媒体ごとに草薙素子のキャラクター造形や世界観のトーンが大きく異なります。その主要な差異を比較すると、作品ごとのメッセージの違いが浮き彫りになります。
士郎正宗による「原作コミック版」の草薙素子は、非常に感情豊かでユーモアがあり、時に下品な冗談を飛ばしたり喜怒哀楽を爆発させたりする人間味あふれるリーダーです。電脳犯罪を追うプロフェッショナルでありながら、プライベートをエンジョイする快活さが特徴です。
これに対し、押井守監督の「劇場アニメ版(1995年)」では、哲学的でストイック、どこか厭世的な雰囲気を漂わせる求道者として描かれます。自らの存在理由を深く内省し、人間と機械の境界線に葛藤する冷徹な美しさが際立っています。
神山健治監督による『S.A.C.』シリーズでは、原作のバイタリティと劇場版のシリアスさを絶妙にブレンド。9課のメンバーを率いる頼れるボスとしての頼もしさと、国家の陰謀に立ち向かう知性派アクションヒロインとしての魅力が前面に押し出されました。
そして「ハリウッド実写版」では、自我の喪失に苦悩するアイデンティティ探求劇として再構築され、ハリウッド的なエモーショナルなカタルシスに重きが置かれた設計となっています。