叶井俊太郎という映画人が遺した足跡は、日本の映画配給業界において唯一無二だ。単館系映画の金字塔となったフランス映画『アメリ』の日本配給権を獲得し、記録的な特大ヒットへと導いた手腕は今も伝説として語り継がれている。
一方で、カルト的な熱狂を生んだ『ムカデ人間』シリーズの仕掛け人としても知られる。良識派が眉をひそめるような過激作、奇抜作を独自の嗅覚で見出し、見事なプロモーションでサブカルチャーのど真ん中へ叩き込む。そのアグレッシブな仕掛けは、小ぎれいなマーケティングが主流となった現在のエンタメシーンにおいて、ひときわ強烈な輝きを放っている。