彼女の足跡を振り返るうえで、鬼才・岩井俊二との出会いは外せない。映画『花とアリス』で見せた即興的でありながら完璧なバレエシーンは、今なお語り継がれる名場面だ。儚さと力強さが同居する独特の空気感。彼女は単なる「可憐な少女」にとどまらず、人間の内面に潜む多面的で生々しい揺らぎを見事に体現してみせた。
あの一瞬の眩い光景は、彼女が単なる人気女優ではなく、スクリーンそのものと対話できる稀有な表現者であることを証明していた。キャリア初期に培われたその感性は、その後のあらゆる役柄へのアプローチにおける揺るぎない背骨となっている。