倉敷の文化資本を語る上で欠かせないのが、実業家・大原孫三郎の存在だ。彼が遺した美意識は日本初の私立西洋美術館である大原美術館のみならず、旧倉敷紡績の赤レンガ建築を再生した倉敷アイビースクエアなど、街の隅々にまで浸透している。そして今、その文化的土壌を受け継ぐように、クラフトマンシップ溢れるロースターが続々と産声を上げている。
生豆の選定から焙煎プロファイル、抽出器具の選定に至るまで、妥協のないこだわりを見せるバリスタたち。かつての紡績工場のレンガ壁や白壁の蔵の中で、エルサルバドルやエチオピアのシングルオリジンが抽出される。歴史的モダニズムと現代のスペシャルティコーヒー文化が美しく共鳴する瞬間だ。