採血管(スピッツ)は、検体(全血・血清・血漿)を最適な状態で検査機器に届けるために設計されています。フタの色は、内部にあらかじめ充填されている「抗凝固剤」や「凝固促進剤」を瞬時に識別するための重要なサインです。各メーカー(テルモやニプロ、ベクトン・ディッキンソンなど)により微妙なトーンの違いはあるものの、国内の主要規格はおおむね共通しています。
現場で頻繁に登場する代表的な採血管種類と抗凝固剤一覧を整理します。
1. 生化学検査スピッツ(フタの色:茶・赤・黄)
血液をあえて凝固させ、遠心分離によって上清の「血清」を取り出すための管です。凝固を早めるためのトロンビンやケイ酸塩などの凝固促進剤、および血清と血球を分ける分離剤が入っています。肝機能(AST、ALT)、腎機能(BUN、クレアチニン)、脂質、電解質などを測定します。
2. 凝固検査スピッツ(フタの色:水色・青)
血液が固まるスピードを測定するため、血液凝固を一時的に止めるクエン酸ナトリウム(3.2%または3.8%)が液状で入っています。PT-INR、APTT、フィブリノゲン、Dダイマーなどを測定します。血液と薬剤の比率が「9:1」と厳密に決まっているため、規定量ピッタリまで採血しなければ正確な値が出ません。
3. 血沈(赤血球沈降速度)スピッツ(フタの色:黒)
こちらもクエン酸ナトリウムが入っていますが、凝固用とは濃度と比率が異なり、血液「4」に対して薬剤「1」の割合で採血します。炎症反応の指標となる血沈を測る専用管です。
4. 血算・一般血液検査スピッツ(フタの色:紫・ラベンダー)
白血球(WBC)、赤血球(RBC)、ヘモグロビン(Hb)、血小板(Plt)などの血球数を数えるための管です。カルシウムイオンを強力にキレート(結合)して凝固を防ぐEDTA-2K(またはEDTA-2Na)が噴霧乾燥されています。血球形態の変形が少ないのが特徴です。
5. 血糖検査スピッツ(フタの色:グレー・灰色)
採取した血液中のブドウ糖が赤血球によって消費(解糖)されるのを防ぐため、解糖阻止剤であるフッ化ナトリウム(NaF)と、抗凝固剤(ヘパリンやEDTAなど)が入っています。血糖値(Glu)やHbA1cの測定に用いられます。
6. その他特殊スピッツ(フタの色:緑)
抗トロンビン作用を持つヘパリン(ヘパリンリチウムやヘパリンナトリウム)が入っています。血液ガス分析や染色体検査、迅速な生化学血漿検査などで使用されます。