騒音が鳴り響いた瞬間、激しい怒りに駆られて上の階のインターホンを激しく鳴らしたり、ドアを力任せにノックしたりすることは絶対に避けるべきです。直接苦情を伝えてはいけない決定的な理由は、当事者同士の直接対峙がほぼ100%の確率で防衛本能による「感情の逆なで」を生み、問題の本質が「騒音の是正」から「個人のプライドをかけた敵対関係」へとすり替わってしまう点にあります。
「いきなり押しかけられて恐怖を感じた」「威嚇された」と主張されれば、本来は被害者であったはずの側が、不退去罪や脅迫罪の疑いをかけられて警察を呼ばれる事態に発展しかねません。インターホンの録音機能や玄関先の防犯カメラに、怒鳴りつける姿や荒い口調が記録されてしまえば、後の司法手続きにおいて著しく不利な材料となります。
さらに危険なのが、苛立ちのあまり箒や突っ張り棒で天井を小突く天井ドンの仕返しトラブルと法的リスクです。ネット上では「天井ドンで気づかせた」という武勇伝が散見されますが、これは極めてリスキーな行為です。天井クロスや石膏ボードを破損させた場合は刑法第261条の器物損壊罪に該当し、賃貸物件であれば退去時に高額な原状回復費用を請求されます。また、下からの威嚇打撃によって上階の住人が精神的苦痛から不眠症などに陥った場合、不法行為に基づく損害賠償請求を起こされ、被害者が加害者として法廷に立たされるという本末転倒な結末を招く危険があります。