世界保健機関(WHO)が健康寿命の概念を提唱して以来、世界中の公衆衛生政策はこの指標を基軸に再編されてきた。超高齢社会の最前線を走る日本は、いわば人類が未だ経験したことのない巨大な実験場である。そこで今、世界的な注目を集めているのが、発症後の治療から手前の予防へと重点を移す「予防医療」の産業化だ。
民間主導のヘルスケア産業では、ウェアラブル端末による生体データの常時解析や、AIを用いた未病段階での介入サービスが急速に台頭している。かつては病院のベッドで行われていた健康管理が、リビングルームや街歩きの中に溶け込み始めた。テクノロジーと伝統的なコミュニティの知恵が融合した時、日本発の健康モデルは世界への処方箋となり得る。