かつて地域住民や行楽客に愛され、2002年に惜しまれつつ75年の歴史に幕を閉じた「向ヶ丘遊園」。その膨大な跡地の活用事業が、2026年の今、理想的な形で花開いている。コンクリートで覆い尽くす大規模ショッピングモールではなく、起伏豊かな地形と広大な森林を活かした温浴施設や自然体験型エリア、オープンエアの商業ゾーンが融合したエリアへと再生された。
現地を歩くと、かつてのバラ園の面影を残しつつも、現代のライフスタイルに合わせたリラクゼーション空間が広がる。週末には都内からわざわざ足を延ばす家族連れで賑わい、「遠出せずとも豊かな休日時間を過ごせる場」として機能しているのが印象的だ。歴史の記憶を継承しながら、緑の価値を再定義した空間設計が、都市生活者の疲れた心身を捉えて離さない。