歯科専売品から火がつき、今やホームケアの定番となったライオンDENTブリリアントモアWですが、ネット上には「何本使っても白くならない」という手厳しい口コミが存在します。この評価のねじれを紐解く鍵は、歯が白くなる生物学的・化学的メカニズムの誤解にあります。
第一の決定的な理由は、本製品が持つ作用が「ステイン除去」であり、「エナメル質の漂白」ではないという事実です。歯科クリニックで施術されるオフィスホワイトニングは、高濃度の過酸化水素を用いて歯の内部にある象牙質の着色有機物を分解・漂白します。一方、ブリリアントモアが得意とするのは、歯の表面に強固に付着したペリクルとステイン(茶渋、コーヒー、タバコのヤニなど)の結合を化学的に緩めるアプローチです。つまり、「歯が本来持っていた色に戻す」ことはできても、「生まれつきの歯の色以上に白くする」ことは構造上あり得ません。
第二の理由は、日本人の歯の解剖学的特徴に起因します。日本人のエナメル質は欧米人に比べて薄く、内部にある黄色味を帯びた象牙質が透けて見えやすい傾向があります。加齢に伴って象牙質が肥厚し、エナメル質が摩耗してくると、外因性の汚れを完全に落としても歯全体は黄ばんで見えます。この加齢性変色や内因性変色に対してステイン除去歯磨き粉を使用しても目に見える変化は得られず、結果として「白くならない」という不満につながるのです。
第三の理由は、有効成分の作用を打ち消してしまう誤った生活習慣です。ステインを浮かせる作用があるとはいえ、喫煙直後や濃いコーヒーを口にした後、長時間の着色放置を繰り返していては再沈着のスピードが上回ります。製品の限界値を正しく認識することこそが、後悔しないオーラルケアの第一歩です。