劇画家・さいとう・たかをが遺した最大の功績は、キャラクターの造形美だけに留まらない。彼が築き上げた制作スタジオ「さいとう・プロダクション」による徹底した分業システムこそが、漫画出版業界における最大の革命だった。脚本、構図、背景、武器のメカニックに至るまで、各分野のエキスパートが分担して組み上げる映画的な制作プロセスは、作者逝去後も一切クオリティを落とすことなく連載を継続させるという前代未聞の偉業を成し遂げた。
小学館の看板雑誌『ビッグコミック』の表紙を飾り続けるその姿は、一人の天才のひらめきに依存する従来の漫画制作への強烈なアンチテーゼでもある。集団の知性と職人芸を極限まで研ぎ澄ますことで、作品は作者の肉体を超越した不滅の存在へと昇華した。