2008年春の番組改編期、細木数子は突如として「本業である占術の研究や勉強に専念する」との意向を表明し、すべての冠番組を同時に降板した。表向きは円満な自主退場と説明されたものの、テレビ関係者の間では別の要因が囁かれていた。番組制作費の高騰、一本数百万円とも報じられた巨額の出演料、そして何より過熱する週刊誌による過去の金銭トラブルや人脈に関する追及報道が影を落としていた。
最高視聴率を叩き出し続ける一方で、BPO(放送倫理・番組向上機構)への視聴者意見やコンプライアンス順守の要求は年々厳格化していた。局側にとっても、高視聴率の恩恵と引き換えに背負うリスクが無視できない水準に達していたのだ。引き際を見誤れば晩節を汚しかねない。直感に長けた彼女自身が、テレビというメディアの賞味期限を誰よりも早く察知していたと言える。