言葉の持つ力が人々の行動を動かした象徴的な事例として、首都圏を中心とした行政トップの発信が挙げられる。東京都の小池百合子知事はフリップを掲げた力強い会見で「ステイホーム」や「不要不急」のフレーズを強く浸透させた。記者会見における視覚的な演出と象徴的なフレーズの反復は、社会全体の空気を一変させる圧倒的なメッセージ性を持っていた。
一方で、政府の専門家会議などで中心的な役割を果たした尾身茂氏は、科学的根拠に基づいた人流抑制の必要性を訴え続けた。専門家によるデータに基づく提言と、首長による政治的メッセージの組み合わせは、人々の心理に深いインパクトを与えた。ただし、心理的な緊張が長く続くことで生じる「自粛疲れ」や「認知の麻痺」は、現代の危機管理における大きな課題として残されている。