いま市場で最も高値で取引されているのは、生産者が数年がかりで幹の軌道をコントロールした「曲がり(S字仕立てやスパイラル)」の個体だ。沖縄や指宿の生産地では、太陽の向きを意図的に変え、添え木とワイヤーを駆使して、幹にまるで盆栽のようなドラマチックな曲線を与えていく。
「同じ樹形は世界にふたつと存在しない」という事実が、大量生産・大量消費に飽きた世代の所有欲を刺激する。葉の赤みにもグラデーションがある。定番の赤緑のコントラストが美しい「原種系」、淡いトリコロールカラーが優しい「レインボー」、そして緑一色の「ホワイボリー」。自分の部屋の光の入り方、フローリングの色味に合わせて、何ヶ月もかけて理想の一鉢を探し歩く愛好家が後を絶たない。