簿価とは?時価との違いや1円残す理由・Pbr割れの真実をプロが解説についての最新情報をご紹介します。

個人投資家や資産運用担当者にとって、簿価は日々の損益計算に直結する概念です。特に同一銘柄の株式を異なる価格で複数回買い増した場合、税法上および証券口座内で適用される株式の取得簿価計算には、主に「総平均法に準ずる移動平均法」が用いられます。買い増しのたびに「(既保有株式の総簿価 + 新規取得株式の購入総額)÷ 合計保有株数」で平均取得単価が再計算され、それが投資家にとっての取得簿価となります。

一方、株式市場全体を揺るがす構造問題としてクローズアップされているのが簿価割れの真相と原因です。企業の解散価値を示す1株当たり純資産(BPS)は、まさに貸借対照表上の「簿価純資産」をベースに算出されます。株価がこのBPSを下回る状態、すなわちPBR1倍割れと解散価値の逆転現象は、「会社を今すぐ解散して資産を株主に分配した方が、市場で事業を継続させるより価値が高い」という市場からの屈辱的な評価を意味します。

東証による低PBR是正要請が定着した現在でも、日本企業の約3割以上が依然としてPBR1倍割れに沈んでいると市場関係者は指摘します。その深層には、帳簿上に多額の現金や不動産、政策保有株式を「取得原価」のまま抱え込み、資本収益性(ROE)を高めるための再投資を怠ってきた日本的経営の硬直性があります。市場参加者は「帳簿上の数字は立派でも、資本コストを上回る利益を生み出せない企業の資産は、将来的に毀損していく」と冷徹に見抜いているのです。