地球連合軍という組織の中で、彼は常に異彩を放っていた。ナチュラルとコーディネーターの泥沼の戦いの中で、ムウ・ラ・フラガの立ち位置はきわめて特殊だ。軍人としての冷徹な判断力を求められながらも、キラ・ヤマトをはじめとする未熟な少年たちを守る「頼れる兄貴分」として振る舞い続けた。
「やめろ、キラ!」「へこたれてる暇があったら動け!」といった言葉は、単なる甘やかしではない。厳しい現実を突きつけつつも、決して見捨てない温かさがあった。SFロボットアニメの系譜において、パイロットたちの命運を分けるのは往々にして指導者の言葉だ。彼の発言の一つひとつは、死と隣り合わせの戦場だからこそ生まれた生々しいリアルを宿している。