時事犯罪ニュースの現場取材によって明かされた藤沢市での潜伏生活は、極めて質素で目立たないものだった。地元の工務店に住み込みで働き、真面目な働きぶりで周囲の信頼を得ていた。
彼を知る近隣住民や飲食店の常連客たちは、一様に困惑を隠せない。バーでブルースロックの曲に合わせて笑顔で体を揺らしていた「ウチダさん」が、日本中が追い続けた爆破犯だったとは誰も想像すらしていなかった。
終末期がんを患い、死期を悟った末に「本名で最期を迎えたい」と自ら名乗り出た2026年1月の出来事。病院のベッドで告げられた「自分は桐島聡だ」という言葉は、捜査当局やメディア、そして長年彼を追ってきた世間に対する最後の衝撃となった。裁判の場で真相が語られることなく彼が死亡したことで、事件の全貌は半ば永遠の謎として残されることになった。