なぜ、大漁旗の色彩はこれほどまでに人の心を揺さぶるのか。その秘密は伝統的な染織技術にある。多くの工房では「筒引き(つつびき)」や「手捺染(てなっせん)」と呼ばれる技法が今も大切に受け継がれている。防染糊を詰めた筒から糊を絞り出し、下絵の線を力強く描く。その線の中に、原色に近い鮮烈な色を刷毛で手差ししていくのだ。
裏面まで染料を均一に染み込ませる作業は、熟練のカンと長年の経験が物を言う。裏表なく同じ鮮やかさで見せる技術は、まさに職人芸の極致。近年では環境負荷の少ない植物由来の天然染料やサステナブルなインクを使用する試みも始まっており、古き良き伝統と現代の環境意識が美しく融合している。