事件から長い年月を経て、母国ドミニカ共和国で暮らすバルビーノ・ガルベスが当時の真相と現在の生活について口を開いた。今なお引き締まった体躯を保つ彼は、穏やかな笑みを浮かべながらあの日を回顧する。
「あの時は若く、チームの勝利に対するプレッシャーと暑さで頭に血が上りすぎていた。橘高さんを傷つける意図はなかったが、感情をコントロールできなかった自分の未熟さを深く恥じている。長嶋監督が私のために頭を丸めて謝罪してくれた姿を見たときの胸の痛みは、今でも忘れることができない」
現在、ガルベスはドミニカ国内で青少年のための野球アカデミーを主宰している。貧しい家庭環境にある子どもたちに道具を無償で提供し、自らグラウンドに立って熱血指導を続ける日々だ。「技術以上に、感情のコントロールと相手へのリスペクトを教えている。私が日本で学んだ最大の教訓だからね」。かつての暴れん坊は今、次世代の原石を育てる慈父のような存在として尊敬を集めている。